戦後の名作建築、継承へ

近年、戦後日本を代表する建築家が設計した名作住宅の保存・軽症に関心が高まっているそうだ。取り壊しに注目が集まる公共建築と異なり、民間住宅は相続による分割や所有者の高齢化で解体されるケースが多く、人知れず姿を消しているという。こうした名建築を後世に残そうと、民間団体「住宅遺産トラスト」が保存すべき「住宅遺産」をリスト化しているほか、戦後住宅に特化した企画展も各地で開かれているとのこと。
住宅遺産トラストによると、貴重な建築が取り壊される背景には相続税法や中古物件の流通マーケットの未熟さがあるという。住宅問題に詳しい弁護士の話では「30年を超えると建築物の評価はほぼゼロになる。相続で現物を分割することはできないため、更地にして換金する場合が多い」そうだ。
こうした危機にある戦後住宅を時代に残そうという動きも強まっている。住宅遺産トラストは、1979年までの半世紀に東京23区内に竣工した住宅のうち、文献や資料に掲載された作品を継承すべき「住宅遺産」としてピックアップする作業を進めているという。現在までに1924年から10年分のリストを完成させたそうだ。
一方、芸術的観点からの再評価も進んでいるそうだ。昨年10月から今年7月まで、広島、さいたま、松本、八王子の各市の美術館が、丹下健三や黒川紀章ら16人の建築家が設計した住宅に焦点を当てた展覧会「戦後日本住宅伝説-挑発する家・内省する家」を開催し、好評を博したとのこと。
八王子市美術館の浅沼塁学芸員は「住宅は、敗戦から高度経済成長期を経て今に至る人々の暮らしを映し出す。日本人は戦後、限られた土地や建材を使いながら快適な居住空間を求めた。そうした過程を伝える住宅遺産の継承は、重要性を増している」と話しているという。
優れた建築が時代に流れと共に消えてしまうのはある程度は仕方のないことだが、少し寂しいものがある。こうして意識して残していくことができれば、技術やその時代の流行などを後世に残していけるのではないだろうか。